親しい方やお世話になった方の訃報に接し、通夜や告別式に参列する際、弔問客としてどのような時間配分で行動すれば、ご遺族に負担をかけず、スマートに弔意を示すことができるのでしょうか。ご遺族の心中を察し、儀式の流れを妨げないための、参列者側のタイムスケジュールと作法について解説します。まず、お通夜に参列する場合です。通夜式は、一般的に午後六時や七時に開式されます。会場に到着する時間は、式の開始時刻の三十分前から十五分前くらいが最も適切です。あまり早く着きすぎると、まだ準備が整っていないご遺族を急かせてしまう可能性があります。逆に、開始時刻ギリギリに到着すると、受付が混雑し、式が始まってから着席することになりかねません。斎場に到着したら、まずコートなどの上着を脱ぎ、受付へ向かいます。そこでお悔やみの言葉を述べ、香典を手渡し、芳名帳に記帳します。返礼品を受け取ったら、速やかに式場内へ進み、案内された席に着席します。通夜式が始まり、焼香の案内があったら、前の人に倣って静かに焼香を済ませます。式が終わり、通夜振る舞いの席に案内された場合は、故人を偲ぶためにも、一口でも箸をつけるのがマナーです。ただし、長居は禁物です。ご遺族は多くの方への対応で疲弊しています。三十分から一時間程度を目安に、頃合いを見て、お開きの前であっても静かに席を立ち、ご遺族に「本日はこれで失礼いたします」と挨拶をしてから退席するのが、深い心遣いとなります。次に、告別式に参列する場合です。こちらも、開式の三十分前から十五分前には到着するようにします。受付からの流れは通夜と同様です。告別式は、故人との最後のお別れの儀式です。特に、出棺を見送ることは、非常に重要な意味を持ちます。時間に余裕があれば、告別式が終わってもすぐに帰らず、出棺の際、霊柩車が見えなくなるまで合掌して見送るのが、最も丁寧な弔意の示し方です。参列者としてのタイムスケジュールで最も大切なのは、常に「ご遺族の負担を考え、控えめに行動する」という意識です。その心遣いが、何よりのお悔やみとなるのです。
弔問客のためのタイムスケジュールと作法