危篤状態が続く時の家族の心の保ち方とケア
「危篤です」と告げられてから、一日、二日、そして一週間と、終わりが見えない時間が続くことがあります。いつその時が訪れるか分からないという緊張状態は、付き添うご家族の心と身体を極限まで疲弊させてしまいます。愛する人の最期を看取りたいという強い想いとは裏腹に、心身が限界に達してしまう前に、適切なケアと心構えを持つことが非常に重要です。「看病疲れで倒れてしまっては、故人が一番悲しむ」ということを、まず心に留めておきましょう。その上で、まず実践すべきなのが「付き添いの交代制」です。一人ですべてを背負い込まず、兄弟姉妹や親戚と協力し、必ず休息時間を確保する体制を作りましょう。たとえ数時間でも、病院を離れて自宅のベッドで眠ったり、温かい食事を摂ったりすることが、気力と体力を維持するために不可欠です。また、感情を溜め込まないことも大切です。不安、悲しみ、怒り、無力感。様々な感情が渦巻くのは当然のことです。家族同士で気持ちを吐き出し、互いの辛さを分かち合うだけで、心の負担は大きく軽減されます。時には、医療ソーシャルワーカーやカウンセラー、信頼できる友人など、第三者に話を聞いてもらうのも有効な手段です。病院のスタッフも、多くのご家族のそうした姿を見てきています。辛い時は、看護師などに声をかけてみるのもよいでしょう。そして、ほんのわずかな時間でも、故人の容態が安定しているように見えたら、それを希望の光と捉え、感謝する気持ちを持つことも、心を保つ助けになります。この長く辛い時間は、故人との最後の絆を深めるための、かけがえのない時間でもあります。自分自身を大切にすること。それが、愛する人を最後まで温かく見守り続けるために、最も必要なことなのです。