仕事の都合や遠方であったため、どうしても通夜や告別式に参列できなかった。あるいは、葬儀は家族葬で執り行われたため、後日改めてお悔やみを伝えたい。そのような場合に、葬儀が終わった後、ご遺族のご自宅へ弔問に伺うことがあります。この葬儀後の弔問は、ご遺族への配慮がより一層求められるため、適切な時期とマナーを心得ておくことが大切です。まず、弔問に伺う時期ですが、葬儀直後は避けるのが賢明です。葬儀を終えたばかりのご遺族は、心身ともに疲れ果てていますし、様々な手続きにも追われています。少し落ち着く時間を持てるよう、葬儀から数日後、早くとも四十九日法要が終わるまでの間に伺うのが一般的です。最も大切なのは、必ず事前にご遺族へ連絡を取り、訪問しても良い日時を直接確認することです。こちらの都合で突然押しかけるのは、最大のタブーです。「ご葬儀の際は、お力になれず申し訳ありませんでした。もしご迷惑でなければ、近いうちにお線香をあげさせていただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか」といったように、相手の都合を最優先に伺いを立てましょう。服装は、喪服である必要はありません。ただし、平服といっても普段着ではなく、黒や紺、グレーといった地味な色のスーツやワンピースなど、改まった服装を心がけます。香典は、葬儀の際に渡せなかった場合に持参します。表書きは、四十九日を過ぎている場合は「御霊前」ではなく「御仏前」とするのが一般的ですが、迷った場合は「御香典」とすれば間違いありません。菓子折りなどの供物を持参するのも良いでしょう。ご自宅に到着したら、玄関先で改めてお悔やみの言葉を述べます。家に上がったら、まずはお仏壇やお写真の前に案内していただき、お線香をあげて静かに手を合わせます。ご遺族との会話では、故人の死因などを根掘り葉掘り聞くのはマナー違反です。むしろ、故人との楽しかった思い出話を語り合い、ご遺族を元気づけるような話題を心がけましょう。ただし、ここでも長居は禁物です。30分から1時間程度を目安に、「長々とお邪魔してしまい、申し訳ありません」と、こちらから切り出して失礼するのが、相手を疲れさせないための心遣いです。葬儀後の弔問は、ご遺族の日常に少しだけお邪魔する、という謙虚な気持ちが何よりも大切なのです。